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振袖の色はさまざまで、それぞれに違う意味が込められています。
そのため、色選びの参考に、込められている意味を詳しく知りたいと考える方も多いでしょう。
この記事では、振袖の色や柄、帯などに込められた、さまざまな意味について解説します。
振袖の色選びで迷っているという方は、色の意味も参考に選んでみてください。
そもそもなぜ成人式に着る?振袖が持つ意味や役割とは
そもそも、なぜ成人式に振袖を着るのか、その意味や役割について疑問を持っている方も多いでしょう。
まずは、振袖そのものが持つ意味や役割などについて見ていきます。
実用性とおしゃれさの両立
振袖を成人式に着るのは、実用性とおしゃれさを兼ね備えた着物だからです。
振袖の脇には、「振り八つ口(ふりやつぐち)」という穴が開いており、通気性が高められています。
そのため、季節を問わず、結婚式や結納、卒業式などにも着られるようになっています。
また、振袖は、他の着物にはない長い袖が特徴です。
踊り子が着ていた長袖の着物が華やかだったことや、袖を振る動作で愛情表現をするのがおしゃれだったことから、若い女性用の着物として流行したといわれます。
振袖は、元々は小袖という着物から派生して生まれ、その実用性とおしゃれさから、未婚女性の第一礼装として定着しています。
振袖がなぜ成人式に着られるようになったのか、より詳しくは「成人式にはなぜ振袖を着るの?成人の日の由来や振袖を着る理由を解説」のコラムをチェックしてみてください。
厄払いの意味
振袖には、厄払いの意味があります。
神道においては、「振る」という動作を特別なものと考えており、「魂振り(たまふり)」という儀式も存在します。
魂振りは、神主が玉串を振ることで、神様のご加護で活力を得たり、厄や穢れを払ったりという意味がある儀式です。
そのため、手や腕、体、神社の鈴などを振る動作も、縁起が良いとされています。
そして振袖は、袖が長いことから振る動作が大きく、厄払いの効果が高く見込めるとされます。
女性にとっては19歳が厄年、20歳は後厄にあたるため、厄払いをする意味でも振袖を着ることに意味があるのです。
晴れ着としての役割
振袖は、晴れ着としての役割も持っています。
成人式のルーツは、裳着(もぎ)や元服(げんぷく)などの通過儀礼です。
裳着や元服では、成人を迎えた女性や男性が、特別な着物を着たり、特別な被り物を被ったりして祝いました。
このような通過儀礼は、一度廃れて、ほとんどの地域でおこなわれなくなりました。
しかし、第二次世界大戦後に、青年祭という催しをきっかけに、成人式という名称で復活します。
その頃には、実用性とおしゃれさを兼ね備え、厄払いの意味も持つ振袖は、未婚女性の第一礼装として定着していました。
そのため、成人式という晴れの日にも着るようになっているのです。
振袖の色にはどのような意味が込められている?
では、振袖の色には、どのような意味が込められているのでしょうか。
日本の歴史を踏まえて、それぞれの色に込められている意味や、印象などについて解説していきます。
赤色
赤色の振袖に込められた意味は、「特別」や「神聖」です。
赤色の顔料は、土からも取れたため、縄文時代のような古い時代から使われてきたという歴史があります。
例えば、彩文土器のような食器や衣服、亡くなった方の遺骨に塗ることもあったといわれます。
赤色が遺骨の装飾に使われるほど特別視されたのは、太陽や炎、血などを思わせ、咲く花はひと際華やかで、強いエネルギーを感じさせるためです。
以降も、赤色は、魔除けや厄除けにもなると考えられ、縁起が良い特別な色として扱われました。
天照大御神を表現するのも赤色で、「朱色」は神社仏閣に、「猩々緋色」は武将の陣羽織に、「紅色」は日本国旗にと、要所に取り入れられています。
また、赤色は、情熱や活力、自信などをイメージさせる色でもあります。
赤色の振袖は、成人式では定番で、日本人の肌に合いやすいことから多くの方におすすめです。
赤色の振袖が気になる方は、「赤い振袖が似合う人の特徴とは。コーディネートや着こなしのポイントまで紹介」のコラムもチェックしてみてください。
ピンク色(桃色)
ピンク色の振袖には、「魔除け」や「女性らしさ」という意味が込められています。
魔除けという意味があるのは、中国から桃は魔除けの力があると伝わったためです。
実際に桃は、720年頃に編纂された日本書紀に、魔除けの効果がある実として登場しています。
ピンク色は、都を守る衛士が着る「桃染(つきぞめ。桃花褐や桃花染とも)」にも用いられており、魔除けのイメージが強く、奈良時代や平安時代は男性の色として捉えられていたことがわかります。
しかし、江戸時代頃には、3月3日が桃の節句になり、徐々に女性の色としても浸透していきました。
さらに、20世紀頃には、海外でもピンク色は女性らしい色という認識が定着します。
そのため、ピンク色の振袖には、魔除けという意味だけでなく、女性らしさという意味も込められているのです。
愛らしさや美しさを引き立てる他、ピンク色には優しさや愛情、幸福感など、さまざまな良い意味があります。
緑色
緑色の振袖には、「成長」や「平和」などの意味が込められています。
緑色は植物の色であることから、成長や生命力の象徴として扱われてきました。
特に松葉色や常盤色などの緑色は、秋冬でも葉の色が変わらない常緑樹の色で、「永久不変」を表す縁起が良いものとして好まれた歴史があります。
また、大正時代頃には、戦勝や好景気が重なり、日本は平和で華やかな時代に突入します。
緑色は「平和色」として扱われ、特に「大正緑」は流行色にもなっていました。
また、緑色は、癒しやリラックス、落ち着き、知性、自然や健康、若々しさ、爽やかさなどを思わせます。
古代日本では「青々とした緑」というように、緑色は青色に含まれる色と考えられ、地味と考えられていました。
しかし現在では、緑色は、赤色や白色に続く振袖の人気色であるため、検討したい色の一つとなっています。
緑色の振袖が気になる方は、「緑の振袖が似合う人の特徴は?パーソナルカラーで違う選び方やポイントを解説」のコラムもチェックしてみてください。
青色
青色の振袖には、「勝利」という意味が込められています。
日本には、古くからタデ藍という植物から取れる染料を利用した「藍染め」という染め方があり、青色は、武士や庶民を問わず親しまれてきました。
武士に好まれたのは、藍染めが、色を濃く染めようとするほど、「搗つ(かつ)」という布を叩く作業が必要だったからです。
藍染めは「褐色(かついろ。勝つ色)」と呼ばれ、黒に近くなるほど濃く染める藍染めは、縁起を担ぐ武士たちに人気の色となりました。
また、派手な色の着物を禁止された江戸時代においては、庶民にとっては青色がより身近で味わい深い色として浸透します。
日本でよく使われた濃く美しい青色は、海外からジャパンブルーとも称され、注目を浴びたこともあります。
青色は、海や空を連想させることから、涼しさや爽やかさを感じさせ、冷静沈着、知性、思慮深さ、誠実さなど良い意味を連想されやすいため、おすすめの色です。
青色の振袖が気になる方は、「青い振袖が似合う人とは?パーソナルカラー別の選び方やコーデのポイントまで」のコラムもチェックしてみてください。
黄色
黄色の振袖には、「高貴」や「幸福」という意味が込められています。
古代中国で生まれた五行思想では、方角の中央を示す最も重要な色が黄色で、皇帝の色とされていました。
その考えが伝わった日本でも、603年頃に聖徳太子が制定した冠位十二階の大信と小信の位に、黄色が採用されています。
さらに820年頃には、天皇が重要な儀式で着用する「黄櫨染(こうろぜん)」の色に、黄色と赤色を混ぜた黄赤色もしくは黄褐色が採用されました。
黄櫨染の色は、庶民が使うのを禁じられた「禁色」になり、特別高貴な色として扱われていたことがわかります。
また、黄色は、豊穣をイメージさせることから幸福の象徴で、明るさ、元気、社交性、など、多くのポジティブな印象を持たれる色です。
国や人によってはネガティブなイメージを持たれる色ではあるものの、着ている人も見ている人も元気になるビタミンカラーとして人気です。
紫色
紫色の振袖には、「高貴」や「神秘」という意味が込められています。
紫色が高貴とされているのは、昔の紫色が、高貴な身分の人しか身に付けられない「禁色」の一つだったからです。
聖徳太子が定めた冠位十二階の中でも、大徳と小徳という、1~2番目の階級の人しか紫色を使えませんでした。
かつての日本では、服を染める染料に使う「紫草(ムラサキ)」という薬草が貴重で、染料として加工するのも大変だったことが主な理由です。
紫草は天皇が管理する「標野」という土地で栽培されていたことが万葉集にも記載されており、紫色はとても貴重な色だったことがわかります。
このような背景から、庶民からすれば手が届かない色だったため、神秘的なイメージを形成していったと考えられるのです。
他にも、紫色は、大人っぽさや芸術性、上品さ、妖艶など、さまざまなイメージを持っています。
白色
白色の振袖には、「清浄」や「神聖」という意味が込められています。
古代日本では、色の概念は赤青白黒の4つしかなく、白は重要な色の一つでした。
神道や仏教でも、白色は「清浄」や「神聖」、「純粋無垢」などを表す、重要な色として捉えられています。
そのため白色は、神事はもちろん、花嫁衣裳にも切腹時に用いる死に装束にも、また喪服にも用いられてきたという歴史があるのです。
アルビノの白蛇、白鹿などが現れると、吉兆として扱われたこともあります。
また、白色の布は、紫外線とオゾンの反応を利用して作ることができました。
そのため、北海道では雪解け水の付近、沖縄県では海岸に着物を干して、白色の衣服を作ってきたという歴史があります。
白色は、清楚や真実、信頼、新しさなど、さまざまな良い意味を持っており、近年の振袖の中では、赤色の振袖と同じかそれ以上の人気を誇ります。
白色の振袖が気になる方は、「振袖の白が似合う人はどんな人?トレンドの振袖を成人式で着こなすには」のコラムもチェックしてみてください。
茶色
茶色の振袖には、「粋」という意味が込められています。
茶色は、中国からお茶が伝わった室町時代に生まれた色で、染料にもお茶の葉が主に使われていたといわれます。
安土桃山時代には、檜皮色や香色など、茶色が町人の間で人気になりましたが、茶色が特に注目を浴びたのは、江戸時代のことです。
江戸時代に、贅沢を禁じる「奢侈禁止令」が出たことがきっかけです。
町人たちは、派手な色が着られない代わりに、許可されていた茶色鼠色藍色の3色を工夫して使っていました。
僅かな色や柄の違いを「粋」として、町人たちが楽しんでいたという歴史があり、当時のバリエーションは「四十八茶百鼠」と呼ばれています。
歌舞伎役者が愛好した「路考茶」といった色は、とりわけ高い人気があり、当時の女性たちが積極的に取り入れた色合いです。
また、大地や樹木を象徴する茶色は、安心感や包容力、安定感や温もり、信頼感などを感じさせる色でもあります。
フォーマルな色の黒色にも近く、上品さもあるため、興味がある方はぜひ検討してみてください。
黒色
黒色の振袖には、「格式」や「上品」などの意味が込められています。
古代日本では、黒色は入れ墨に用いられ、お守りやおまじないの意味がありました。
入れ墨の原料は、焚火や土器を焼く際の煤(すす)からでも取ることができたため、赤色と並び、古くから人類が使っていたといわれる色の一つです。
黒色は、何物にも染まらない色であることから特別視され、お歯黒のような既婚者の装飾にも用いられました。
冠位十二階でも、大智や小智の位に用いられ、鎌倉時代頃には、強さや権力を示す色として、黒色が武士の間で流行します。
やがてフォーマルな色合いとして浸透していきますが、神道や仏教での喪服は白色だったため、一時的に、喪服に白色と黒色どちらを使うか混乱が生じた時期もあります。
第二次世界大戦後には黒色が喪服として定着し、着物の黒色には喪服として相応しい格式や上品さが求められるようになっていきました。
そのため、現代の黒色の振袖は、上品さや落ち着き、近寄りがたさを感じるほどの格式をイメージさせます。
また、威厳や重厚感、高級感や洗練さ、美意識の高さなどを感じさせるため、大人びて洗練されたファッションを目指したい方に人気があります。
振袖の柄にはどのような意味が込められている?
振袖の柄にも、さまざまな意味があります。
例えば、桜や小花は「豊かさ」や「繁栄」、松は「不老長寿」、竹は「成長」や「強い生命力」、梅は「清廉潔白」や「忍耐」などを意味する柄です。
他にも、橘文様は「長寿」や「子孫繁栄」、熨斗柄は「幸福」や「繁栄」といった意味があります。
そのため、意味にこだわりたい方は、どのような意味があるかを確認してから選ぶと良いでしょう。
もちろん、好きな柄を選んでも構いません。
振袖は未婚女性の晴れ着として使われるフォーマルウェアであり、厄払いの意味もあることから、基本的に悪い意味を持つ柄は採用されないためです。
なお、振袖に採用されているこれらの柄は、大きく3種類に分けることができます。
古くからある柄の古典柄、近代的な色やデザインを取り入れた新古典柄、古典柄に洋風なモチーフを追加したモダン柄となっています。
振袖の柄についてより詳しくは、「振袖の柄はどんなものがある?主な種類や意味などについて詳しく」のコラムも参考にしてみてください。
振袖と合わせる帯にも意味がある
振袖と合わせる帯にも、良い意味があります。
長いものは「長寿」という意味がある縁起物で、「幸福が長く続くように」という願いが込められているためです。
振袖に使う帯は長く、例えば袋帯の長さは、一般的に4m30cm~4m50cmほどです。
また、帯にもそれぞれ色や柄があり、振袖と同様にさまざまな意味を持っています。
ただし、体の中心近くを飾る帯は、振袖にとってコーディネートの要といわれるほど重要なアイテムです。
振袖と相性が悪い帯を選ぶとおしゃれに見えないため、意味を重視して選ぶのではなく、振袖との相性で選ぶことが大切です。
素敵な意味や想いが込められた振袖を、振袖Fe.memeで
この記事では、振袖の色の意味について、また、柄や帯などに込められた意味についてもご紹介しました。
振袖の色には、さまざまな良い意味が込められています。
相性の良い色の中から、自身が好きな色、今まではそうでもなかったけれど、意味を知って好きになった色など、選んでみてください。
また、振袖Fe.memeでは、振袖に「最高の晴れ姿で成人を迎えてほしい」という想いを込めています。
成人式に相応しい、さまざまな色柄の振袖をご用意していますので、ぜひ振袖Fe.memeの振袖を選んでみてください。