成人式や結婚式では、華やかな振袖を身につけた女性を目にし、憧れてしまうものです。
しかし、振袖は色や柄のバリエーションが豊富にあります。
そのため、いざ自分が着る番になると、どれにしようか悩んでしまうかもしれません。
実は、振袖の柄には、それぞれに意味があるのをご存知でしょうか。
振袖選びに悩んだときには、柄がひとつのポイントになるかもしれません。
今回は、振袖の柄が持つ意味や由来について詳しくお話します。
振袖の柄は主に3種類に分けられる
振袖の柄はさまざまですが、大きく3種類に分けられます。
ここでは振袖の柄の種類について詳しくお話します。
伝統的な「古典柄」
振袖の中でも、伝統的な柄は「古典柄」に分類されます。
古典柄は、中国から伝わってきた模様と、日本の独自の文化が融合したデザインになっています。
平安時代や奈良時代から愛されてきた伝統的な柄であり、流行にとらわれないところが魅力です。
また、厄除けや魔除けの意味を持った古典柄も多く存在しています。
古典柄の代表的な柄としては、「七宝」や「亀甲」、「青海波」があげられます。
これらの柄に「桜」や「扇」、「藤」といったモチーフを組み合わせるデザインが多いです。
近代的な「新古典柄」
伝統的な古典柄に、近代的な色使いやデザインを積極的に盛り込んだ柄は「新古典柄」と呼ばれています。
古典柄は、振袖全体に柄が入っているデザインが多い一方で、新古典柄は袖や裾などの一部分に柄が大きく入っています。
また、振袖の地そのものが美しいグラデーションになっているデザインもあり、古典柄よりも自由な印象を受けます。
古典柄よりもシンプルなデザインが多いため、大人っぽく振袖を着こなしたい女性からとくに人気があります。
洋風で新しい「モダン柄」
モダン柄またはレトロモダン柄と呼ばれている振袖は、古典柄をベースに洋風の要素を用いているのが特徴です。
例えば古典柄の桜に代わって、「バラ」や「蘭」、「椿の花」のモチーフがあしらわれている振袖が多く見られます。
その他にも、振袖の地そのものに柄が入っており、市松模様やボーダー、チェックといったデザインもあるようです。
先ほどお話した新古典柄よりも、さらに自由な印象を受けます。
はっきりとした決まりはないものの、鮮やかな色使いの振袖をモダン柄、それよりも色を抑えた大人っぽいトーンの振袖はレトロモダン柄と呼ばれているようです。
見た目が近代的かつ個性的なので、大胆なヘアメイクも映えます。
振袖の柄に込められた願いと意味
振袖の柄には「着る人とその周りに幸せが訪れますように」といった素敵な思いが込められているのです。
そんな振袖の柄には、桜や扇、蝶々などのモチーフが見られます。
このモチーフにも、それぞれ異なる願いや意味が込められています。
代表的な振袖の柄について、詳しく見てみましょう。
振袖の柄①:桜や小花
振袖の柄として、最も多く目にするのが桜や小花ではないでしょうか。
古典柄では、必ずと言っていいほど用いられています。
桜は春に美しく咲くこともあり、「豊かさ」や「門出」といった前向きな意味があります。
これから社会に出ていく成人にとっては、ぴったりの柄だと言えるでしょう。
そして小花にはたくさんの花が咲き誇る様子から、「繁栄するように」といった願いが込められています。
振袖の柄②:菊と牡丹
多くの花びらを持つ菊と牡丹も、振袖では人気のモチーフです。
それぞれにも意味を持っており、まず菊は邪気を払う縁起の良い花です。
皇室の御紋にも使われていることもあり、古典柄の振袖で多く見られます。
そして牡丹は、小さな蕾から大きな花を咲かせるといった点から、縁起の良い植物とされています。
具体的には「高貴」や「大きな幸せ」という意味を持っているでしょう。
いずれの花も振袖では大きく描かれることが多く、色のバリエーションも豊富です。
振袖の柄③:バラの花
モダン柄やレトロモダン柄で人気のバラにも意味があります。
バラの場合、その色によって意味合いが異なるようです。
実際のバラが施されたデザインの振袖を見てみると、赤・ピンク・白の3種類が多く見られます。
ピンクのバラ……上品、大人のふるまい
白いバラ……純粋、純潔
黄色いバラ……可憐、友情
青いバラ……奇跡、夢を叶える
振袖の柄④:扇や御所車
まるで雛人形のひな壇に飾られているような扇や御所車も、振袖では多く見られる柄です。
扇は「開運」または「繁栄」の意味を持つおめでたい柄です。
それはなぜかと言うと扇は末広がりになっていることから「ますます上り調子になる」、「飛躍できる」といった前向きな意味があるためです。
また、扇は仰いで風をおこす道具です。
そのため、災いを吹き飛ばしてくれると言ったことも由来になっています。
そして、御所車は平安時代の貴族が使っていた乗り物であり、「高貴さ」や「優雅さ」といった意味を持ちます。
とくに御所車に花が飾られている柄の場合では、「幸せが溢れる」といった意味に変化するようです。
振袖の柄⑤:蝶々
蝶々は古典柄、新古典柄など問わず振袖に多く用いられているモチーフです。
蝶々は成長とともに美しい姿になり、大空へと羽ばたいていく生き物です。
大人になって羽ばたくというイメージから、振袖の柄として用いられます。
また、蝶々の「ちょう」という響きは長寿にも繋がり、「いつまでも健やかに長生きできるように……」といった意味も込められています。
振袖の柄⑥:松竹梅
柄そのものの由来や意味を知らなくても、松竹梅が縁起がよいということはご存知の方も多いはずです。
松竹梅には、それぞれ下記のような意味があります。
竹……折れにくくまっすぐ伸びることから「成長」、「強い生命力」のモチーフとされる。
梅……厳しい冬の最中に花を咲かせることから「清廉潔白」、「忍耐」を意味する。冬の寒い時期に行われることの多い成人式にも向いている柄。
振袖の文様にも意味がある
振袖や帯には、上記のようなメインの柄を引き立てるため、文様が柄に取り入れられています。
実はこの文様にもそれぞれ由来があり、異なる願いが込められています。
代表的な文様についても見てみましょう。
有職文様
「有職文様(ゆうそくもんよう)」は、平安貴族の衣装や調度品などに用いられた格式の高い文様です。
現代でも縁起の良い柄として、振袖にも用いられています。
振袖では、帯にあしらわれるケースも多いようです。
代表的な有職文様と意味は下記の通りです。
湯気のように上に登っていくことから運気が上昇する意味を持つ。
・七宝……七宝のかたちが丸いことが由来。
円満の意味を持つ。
吉祥文様
日本には、昔から縁起の良いとされている文様がいくつもあります。
その中でも、とくに縁起がよいとされているのが「吉祥文様(きっしょうもんよう)」です。
繁栄や長寿を意味する柄として、振袖はもちろんお祝い事の品物、そして身近で使う日用品にも施されてきました。
吉祥文様にもいくつか種類があり、代表的な柄としては下記があげられます。
・麻の葉……魔除けの意味を持つ
・紗綾形……長寿や繁栄を願う意味を持つ
・青海波……末永い平和を祈る意味を持つ
振袖は柄の意味を知って選ぶともっと素敵に
振袖を選ぶときには、色や全体的なイメージから好みを選ぶ方も多いでしょう。
しかし、最近の振袖はバリエーションも豊かで目移りしてしまいます。
悩んだときには今回ご紹介した柄の意味を参考に、特別な日を彩る振袖を選んでみてはいかがでしょうか。